KAEKA/2015 Diary


平成二十七年 皐月



■2015/05/10 日
 先月無事に千葉県民となる。住む街と職場が変わったので当然生活環境もがらりと。以前は職住隣接で通勤は徒歩で10分(玄関ドアを出てから事務所まで)だったのが、今回は電車3回乗り換えと徒歩を含めると1時間半。人生最長の通勤時間となる。以前の埼京線に比べるとそう混雑しているわけでもないのでその辺りは多少楽ともいえるが、一日3時間も通勤に取られるのはどんなものなのだろう。とりあえず1年はここに住んでみて、以前みたいに通勤を短縮できる場所に引っ越すかどうかは今後の様子をみてから考えよう、というところ。
 住居は札幌で住んでいたような世帯用住宅となるが、独身の自分が入居しているくらいだから空き部屋が多いよう。階段単位でみると入居率は2/3くらい。この部屋も5年ほど空き部屋だったそうで、入居後すぐに確認したら風呂の給湯器(俗にいう「バランス釜」)が故障して点火できなかった。その後修理してもらったが部品取り寄せのため1週間かかったので、入居直後はしばらく銭湯通いとなる。おかげで必然的に周辺開拓ができた、という意味ではよかったのだけど。
 部屋は居間の他に六畳間がふたつ、四畳半がひとつ。居間と隣接する六畳間との境にある襖をとっぱらって大部屋をつくる。もうひとつの六畳間はタンスやら衣装ケースを置いて衣類その他の収納スペースに。四畳半は押入れにダンボールを入れただけで手付かずのまま。と、札幌時代と同じような生活スタイルになりそう。
 室内自体は築年数の割りにきれいなので、生活には特に支障なし。で、何よりこちらは首都圏からは外れるので車で行動する分には非常に利便がいい。車持ちにはやはり、こういう場所がいいのかも知れないなぁ、と思う新生活1ヶ月目。

 ちなみに、今回の引越しもガスの種類が変わった。就職後の自分はまずプロパンからはじまり、札幌では都市ガス、静岡ではプロパン。埼玉は都市ガス。その後住み替えをした東京は都市ガスだったけれどガス台付属の部屋だったので次の引越しに備えて以前のガス台も持ち続けていた。が、神奈川に引っ越してみればプロパンだったので不要に。そして今回はまた都市ガス、と。異動に伴う引越しの際は必ずガスの種類が変わる(ガス台も買い替えになる)というジンクスがあるのだけど、今回もその通りに。


■2015/05/30 土
 埼玉に住んでいた時以来の歯医者へゆく。現住居の周辺は梨畑ばかりでスーパーも遠い環境なのだが、歯医者だけは歩いてすぐの所にある。治すべきは、もうかなり前にモノを噛んだら砕けた右上の奥歯。前回冠を被せた奥歯の後ろになる。本当はすぐに治しにゆけばよかったものの、前の住所で引越しが間近だったこともあり、先延ばしにしていたもの。
 レントゲンを撮ったりなんだりして、状況を確認してもらう。説明によると、小さな穴から虫歯が内部で広がって噛んだ時に砕けたのだと。歯は半分ほど崩壊しており、もう少し放っておいたら神経が顔を出す(痛み出す)というタイミング。ただ、根は無事なので抜いたりはせず、削って神経を取るけれど元の歯はそのままに冠を被せましょう、と治療方針が決まる。そして即日歯を削って、麻酔をかけて神経を取るところまで。そういえば前の歯医者さんはこの神経を取ることを「神経を殺す」と言っていた。こちらの歯医者はただ「取る」というだけ。やっていることは同じなのだけど、やっぱり「殺す」はちょっとおっかない感じ。
 歯医者は昼前に終わり、ただ、麻酔をしたり仮の被せ物をしているので、食事は1時間以上避けてください、とのこと。なのでそのまま歩いて近所の探検にゆく。5〜6駅分ほどは歩いてきたけれど、あるのは梨畑、梨畑、梨畑。あとは広大な面積の都立霊園(何故か千葉県内にある)だとか。そうして戻ってきて、谷地にある周辺では一番大きくて緑豊かな公園へ。隣の市になるけれど、ここには動物園、植物園、大きな池、湿地の中の散策路、と色々と集まっている。
 池の周囲を歩いていた時。ふと対岸の枝の上を見た。水面を窺っている青い鳥。あれはもしかして、と。まさかこんな公園内にいるとは思わなかったのですぐに出てこなかったけれど、ややしばらくしてカワセミだということに気づく。6〜7年前に柿田川で見た時以来のカワセミ。
 それからしばらくカワセミ観察。公園にはそこそこ人もいるけれど、気づいている人がいない。ただ、ちょっと離れたところに大砲のようなレンズのカメラを三脚に載せたおじさんがひとり、ひっそりと狙っているだけ。と、突然カワセミが水底に刺さりそうな勢いで枝から水中に降下。やや遅れてカシャカシャカシャとおじさんのカメラのシャッター音。カワセミはすぐに水から飛び出して枝に戻る何か獲ったようだけど、何を獲ったのかはよくわからない。
 「どうでした」と、おじさんに訊く。「いやもう早すぎてムリ」
 さすがにこちらも、遠いし早いしでカワセミにはスマホのカメラを向ける気にもならない。でも、今度は単眼鏡でも持ってこようかな。引越しでどこに埋まっているかわからないけれど、確かどこかにあったはず。


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