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RERA


風がいたずらをして
紐を持つ手を
ちょっと緩めた隙に
少女の手から風船を
奪っていった

青い青い空高く
風船を連れ去ってゆき
風は振り返る
大切な風船を奪われ
泣き出すはずの少女を

少女はぽかんと空を
見上げていたけれど
遠ざかる風船に
にこっ、と笑って
ばいばい、と手を振った

もう、立ち停まることも
後戻りすることも
できずに吹き去る風が、ほら

いま少女に恋をした


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