蜘蛛の巣 世界は大きな蜘蛛の巣に すっぽりと覆われていて キラキラと輝いていたよ それはそれは綺麗だったさ で、その大きな蜘蛛の巣の中で ひとりひとりの人間は 糸と糸が交わる網目の ひとつひとつにいるんだ その無数の網目から無数の糸が すうっと地面に降りていて その一本一本の先に ひとりひとりの人間が ぶら下がっていて みんなバラバラになって 泣いたり笑ったり喧嘩したり 愛し合ったりしてるけど みんな結局はその糸で ひとつの蜘蛛の巣に 繋がっているんだな だから 自分だけと思って何したって したことで最後に震えるのは ひとつの蜘蛛の巣なんだから ひとりひとりが何したって みんなひとつの蜘蛛の巣に していることに、なるんだな え、大きな蜘蛛はいたかって ああ、糸の先に人々が ぶら下がっているように見えて 本当は人々の方が蜘蛛の巣に 糸を繰り出してるのかも知れないな 糸の先、人が下がっている間だけ 巣の中の糸がどんどん伸びてって 網目を細かくしていって 新しい網目を産み出して その大きな蜘蛛の巣は そうしてできたみたいだし そうして成長するみたいだよ だから、まぁ。安心しなって 大きな蜘蛛の巣はあったけれど 大きな蜘蛛は、いなかったよ >> Next |