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泣き空の向こうに

空が泣いていたんだ
機内から覗いた
小さな窓の外でさ
銀色の翼がずっと
空の涙に打たれていたよ

そんな涙に濡れた滑走路を
飛行機は走り出して
泣き続ける空へと
駆け昇って行ったんだ

飛行機は高度を上げて
やがて雲の中に入ったよ
暗くて重たい灰色の
纏わりつくような、雨雲の中
空の涙が生まれるそこは
空の悲しい気持ちの中だったさ

そんな悲しい雲の中を
飛行機はぐるっと旋回して
北へと針路をとって
更に高度を上げていったよ

そうしたら
暗い灰色だった窓の外が
次第に白く明るくなってきて
いつの間にか雨雲を抜けて
飛行機は雲海を眼下に
一面の澄み渡る青の中へ、と

上へ行くほど深みを増してゆき
天で宙の漆黒と繋がる
青い蒼い空の中へ、と

空の涙のその上の
悲しい雲のその上には
こんな空があるんだな、って

景色はさっぱりだったけど
いいフライトだったよ


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