Diary


平成二十一年 皐月


■2009/5/1 金
 ホームで鳴るのはベルではなくてチャラリラという電子の音楽。動き出すのは、汽車ではなくて電車。モーターにギアが付いているのかどうかは知らないが、シュイーン、シュイーン…という音が加速と共に段階的に上がってゆく。カタン…コトン、カタン…コトン。ゆったりしたリズムが次第にカタンコトン…カタコトン、カタコト…カタコト…と小刻みになってゆく。
 この4月から、人生初の電車通勤。かなり混む路線らしいが、朝6時台はまだそれほどでもない快速電車の中。自分はドア近くに立って、7人がけシートにきっちり腰掛けている人たちを見る。7人はそれぞれ、寝てる携帯寝てる寝てる携帯スポーツ新聞寝てる…といった感じで、大体寝てるか手に持った何かを見ている。
 窓の外に目を向ける。流れてゆく朝の町並みが、街並みへと。次第に建物の密度が増してくる。都内へ向かう電車の、自分は進行方向に向いて右側のドア近くに立って外を見ている。こちら側に立つと見えるのだ。今日は見えない。けれど今週は1日だけ見えた。見渡す限りずっと続くかのような街並みの、その更に向こう。4年間、ずっと間近で見続けていた富士山。ここから見ると少し青みがかって見える。遠くはなったけれど、同じ方角から見る同じ形の、まだまだ雪に覆われた富士山。


■2009/5/23 土
 3月23日に転属の内示を受けて、24日にネットで部屋探し。25日に現地へ行って物件を確認して部屋を決め、入居の調整をしてくる。引き続き引っ越し業者を探して同時平行で荷物の整理。合間に新しい職場に行って1日だけの仕事の引継ぎを行う。その後で送別会やらなんやらやっていたら、あっという間に31日の転出日。
 翌4月1日に引越し業者に荷物を預け、役場関係の手続きを済ませて、退去時の部屋の点検を受けて、身の回りの荷物を自分の車に積む。職場の人が仕事を抜け出して見送りにきてくれる。雨の中、クラクション一発鳴らして自分も出発。高速道路を走り、埼玉県内のビジネスホテルに宿泊。
 2日の午前に新居の鍵を受け取りに行って契約を済ませ、午後から引越し業者がきて荷物を運び入れて、あとはまた役所の手続きやらなんやら。それから無事に初出勤、と。

 その後も、今週行われた百何十人規模の全国的な会議の運営主務者を仰せつかってその準備だなんだで電話工事を入れる間もなく、2度ほど工事の予約をキャンセルしつつもようやく電話が繋がりました。

 いや、本当に今回の引越しはハードでした。


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