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平成十七年末 前編


■2005/12/25 日
 これからあてのない旅に出よう、という時。一泊目は何か不都合があればすぐに引き返せる、そのくらいの距離に宿を張るのがいいと思う。初日は、これから始まる旅に対する、自分自身の意思確認、意思統一の時間にあてる、そのくらい余裕を持つのが丁度いいから。旅に限らない。他の色々なことについても同じだ。始めざるを得ない状況で始めてしまうと、その後は自分の意志と関係なく、続けざるを得なくなってしまう。

 とにかく、千里の道も一歩を踏み出さないと始まらない。
 で、千里って何キロだ。…3.9273×1000キロか。長いな。

 夜に出発して愛知県安城市、道の駅「デンパーク安城」まで移動。


■2005/12/26 月
 東海の人口密集地帯を抜けて、四日市から近畿地方に入る。高速道路並に整備された国道25号を走るが伊賀の辺りで事故渋滞。途中で降りて沿道のタヌキさんを見ながら信楽へ抜ける。この辺りの道は好きだ。けれど、すぐに関西の人口密集地帯に入る。今回は宇治から高槻市、西宮と抜けるルートにする。
 宇治川沿いを走る。ちらほらと現れる茶畑に、所々雪が載っている。京都府と大阪府の境目辺りを走って高槻市。概ね渋滞だが、春の京都中心部、夏の大阪中心部、といった大都市中央突破のルートに比べると、今回のルートはまぁまともに走れるかな、という感じだった。神戸に入り、今度は渋滞のおかげで高架の上からポートタワー、海洋博物館をじっくりと見ることができた。やがて景色が夜景に変わるころ、夏に渡った明石海峡大橋が見えてきて、その下をくぐる。夏に行った淡路の灯が見える。

 中部地区の地図帳のエリア外に出た。それを閉じて、中国四国地方の地図を開く。
 兵庫県相生市 道の駅「あいおい白龍城」泊 温泉つき。
 中国地方は未知の世界なので、地図帳を開いてしばし地理の勉強。


■2005/12/27 火
 赤穂を過ぎた所で国道250号を離れ、海岸線を走る。島が幾つも見える。岡山からは国道2号線。バイパスが続くのだが、ここでも渋滞。
 渋滞での停車中に地図を見ていたら、笠岡市の国道から海岸寄りの場所に「カブトガニ記念館」というのを発見。そこから尾道まで、海岸線を走れば国道2号線の渋滞を回避できそうだ。と思ってカブトガニ記念館(地味)に寄る。生きたカブトガニがいた。裏から見るとクモみたい。食べても美味しくなさそうだが、一応食用にもなるという。


 カブトガニ記念館(地味)でルートを検討。幅員2.2m以下しか通行できない堰の上の道を走ったりしながら、福山市街地をパス。海岸を鞆の浦方面へ。鞆の浦の先端は完全に生活道で、今旅で最も狭い道。ドアミラーを折り畳むレベルのすれ違いで、譲ったり譲られたり、進んだり戻ったりしながら通過する。渋滞が嫌なら隘路。隘路がいやなら渋滞。何かそんな感じだ。
 尾道辺りで再び国道2号線に入り、渋滞。三原市からまた海岸線に脱出。呉までの間、ずっと沖に見えるのは島ばかり。すごい景色。島に沈む夕日を見ながら、呉へと向う。


 呉では今年オープンした「大和ミュージアム」に寄ろうと思っていたのだけど、火曜日が休館日だと判った。明日寄ることにして、今日は呉周辺で宿泊することに。周辺に道の駅が無いので、呉を過ぎて海田町辺りまで、泊まれそうな所を求めてうろうろ。観音崎という所の「シーサイドパーク坂」駐車場に泊まることに。広島の夜景が綺麗だ。けれど、本日はお風呂無し。


■2005/12/28 水
 大和ミュージアムの開館にあわせて朝はゆっくりと活動開始。全長26mと大き過ぎて全体がカメラに入らない10分の1スケールの戦艦大和や実物を修復した零戦。




 別室にはきちんと宇宙戦艦ヤマトのコーナーもあった。

 広島では平和記念公園に行ってみたかったのだけど、ミュージアムの開館待ちで半日潰したので、ここからは一気に西へと進むことにする。帰りに寄れたら寄ろう。
 広島市街を過ぎると国道2号線も流れがよくなる。広島県を抜けて山口県。この辺りになると本当に地理の知識がなく、山口県ってこんな所にあったのか、という感じだ(岡山県も抜け落ちていた)。
 山陽町という所で温泉を見つけてお風呂と夕食を済ませ、下関へ。いよいよ九州へ渡る。一般道を通ると橋ではなくトンネルになるらしい。でも、値段は200円。安い。九州と本州が200円で結ばれているというのは、北海道や四国から見たらもう陸続きと同じだ。そして21:50頃に関門海峡トンネルを通過する。


 トンネルを抜けると門司。夜景が綺麗な港町。

 初の九州上陸、なのだけど、まずやるべきことは地図を買うことなので、通りすがりの本屋で購入して宿泊場所探し。とりあえず国道3号線を下る。そういえばここまで、国道1、2、3号線と連番で走ってきている。
 少し走って3号線から10号線に入り海岸へ。豊前の道の駅「豊前おこしかけ」に泊まる。
 「ぶぜん」って読めなかった。


■2005/12/29 木
 夏に四国の佐田岬から見えたのは九州のどこだったのだろう。地図を見ると関崎、という岬のようだ。 海を挟んで煙突が何本か立っているのが見えた記憶がある。今度は海を挟んで四国を見に行くことに。途中寄った佐賀関の道の駅で、この地に上がったサバが関サバだと知る。
 四国から見えていたのはこれだったのか、と、工場や処理場の煙突を見ながら走り、関崎に着く。海星館という天体望遠鏡付きの施設があったけれど、年末なのでお休み。自分以外に居たのも猫一匹だけ。

 海星館のある高台からは、先端の灯台を下に見ることができる。その向こうに高島、という島と豊予海峡を挟んで、佐田岬。夏を思い出す。といっても、灯台へと降りる道の途中にはミカンがなっていたりして、今も冬とは思えないのだけど。

 326号線、10号線と南下して延岡を通過、日向で夕暮れを迎える。日向の道の駅でお風呂。ふと空を見ると飛行機雲が、西へと向って進んでいる。ここから更に西って、一体どこへ向うのだろう。そんなことを想いながら、飛行機雲をずっと見ていた。こうして地面ばっかり走っていると、何かその進む先は途方もなくて想像がつかない。

 そういえば、後になってから撮った写真を見返すと、飛行機雲を撮った写真が何枚もあった。好きなんだな。

 帰省もピークというニュースを聞きながら、もう少し南下し宮崎市を抜け、地図には出ていたのだけど、ナビには出ていなかった「フェニックス」という新しい道の駅に泊まる。真冬の車中泊、のはずなのだけど、暖房の必要がなかった。冬の長距離ドライブの癖で、冬タイヤや冬ワイパーの他に、車には防寒衣類多数と寝袋(大量降雪時の車中泊は暖房厳禁のため)、長靴や脱出用のスコップまで積んできたのだけど。

 星空の綺麗な夜だった。

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