Diary 桜前線追いかける旅の記録 後編 ■2007/05/02 水 5日目(続) 7時を周り、人もそろそろ増えてきた。弘前城を出てR7を南下、秋田県に入る。八郎潟干拓地の「菜の花ロード」の菜の花が見ごろだという情報を仕入れていたので、大潟村へ向かう。橋を渡って干拓地に入ると、菜の花の黄と桜色に縁取られた、ずーっと伸びる直線道路。そして周りは、原野。 桜が散り頃で、桜混じりの雨風が吹きつける道。蕾へ向かって走っていた昨日までとは違い、今は満開から散る方に向かって走っている。時折ワイパーが濡れた花弁を巻き込む。その度に拭い方が中途半端になり、ガラスに半円の拭きムラが残る。 走っていると一気に駆け抜けてしまいそうだったので、じっくり見ようと脇に車を寄せる。 桜には少しずつ、緑が目立ち初めている。風に散る花弁が、道路の上にも、停めてある車の上にも、そして菜の花の上にも。 戻って車に乗り込むと、フロントガラスにも。 大潟村を抜け、そのまま男鹿半島へ。海岸を走り、先端の入道崎へと向かう。12時半頃に入道崎着。この入道崎に北緯40度のラインが走っているらしい。碑には北緯40度の地、と刻まれている。 大間や龍飛に比べると、周囲は栄えた感じ。何軒も連なる土産物屋をぷらぷらと見学。像や人形は何体もあったけれど、生きた? なまはげはいなかった。 入道崎から、晴れなら絶景だったろう海岸線を、反時計回りに走る。残念ながら霧。八郎潟が見渡せそうな寒風山にも登ったけれど、視界数十メートルの霧の中。仕方なく男鹿半島から撤退し、秋田市を抜けて海岸線のR7を南下する。17時過ぎに道の駅「岩城」で風呂。更に南下して道の駅「にしめ」で宿泊。 ■2007/05/03 木 6日目 こうした旅の場合、日付や曜日の感覚があるのは最初の三日くらいで、このくらいの日数になるとそういう感覚をすっかり無くしている。携帯電話の画面表示を見て「ああ、今日は木曜日か」と思わないと、木曜日にはならない。 久しぶり朝ゆっくりと行動開始。天気は曇り。引き続き、海岸線を南下する。秋田県もあとわずか。象潟という所で、田んぼの中にぽつぽつと小高い丘が点在する、陸の松島のような地形を見る。九十九島といい、元は海に浮かぶ島だった所が、地震による海底隆起で陸地の島になった、とのこと。 やがて、秋田と山形の県境。地図を見ると、東には鳥海山が聳えている…はずなのだけど、見えず。山形に入り最初の道の駅「鳥海」に寄る。天気予報を見ると内陸の方が天気が良さそうなので、海岸線からルートを変更。R7を鶴岡市まで。そこから内陸に入るR112を走り、月山へ向かってどんどん標高を上げてゆくと、天気もどんどん好転する。 雪の尾根尾根を見ながら、そのうち夏のような陽気になる。ここからしばらく、Tシャツ一枚。途中の道の駅や物産館などに寄りながら、ただ走る。 そういえば。色々と土産物屋に寄ったけれど、何かあまり興味を惹かれなくなっている。自分も元は観光地の育ち。こうした業界でバイトしたこともあるし、親も働いていた。ので、「観光地での商売」というのがどういうものかを、ある程度知っている。それに加えて、何と言うか…日本全国のこうした所を見てきて、もうすっかり目が肥えてしまった。 まぁ旅行なんてお祭りみたいなものだから特に気にしなくてもいいけれど。 そう、ひとつだけ。例えば「…限定」という表示のお菓子があるとする。けれど、そういうものは意外とその地元で製造されていなかったりする。それを見分けるには、産地、または製造者がちゃんと標示されているかどうかを見るといいだろう。 意外と多いのが、産地や製造者の標示が全く無く、「販売者」だけ地元の会社が書かれているもの。こういうのはまず、地元の製造ではない。加えて、「…限定」や「販売者」の標示が印刷ではなく「シール」だと、それはもう地元の製造ではないと判断していいだろう。 実際に、自分は長崎の土産物屋でも、今回の東北の道の駅の土産物屋でも、全く同じ袋菓子が「当地限定」シールを貼られて売られているのを見つけてしまった。まぁそんなものである。 ちなみに。自分が土産物を多く買うのは、観光地の土産物屋よりも、普通のスーパーが多い。特に地元限定と謳うわけでもなく、その土地では普通に売られているのに、他の土地ではなかなか手に入らない。そういうものが好きだ。秋田では「秋田いなふく」の「ぬれおかき」や、しょっつる味のあられ。山形では「おしどりミルクケーキ」などを、普通のスーパーの食品コーナーで買って来た。何というか、北海道でいうところの「やきそば弁当」クラスのもの。でも、菓子ばっかり。 寒河江からR287で山形県内部を南下。白鷹町からR133で再び日本海へ向かう。途中「胎内温泉」で風呂。その後秋田県内で走っていたR7に戻り、新潟県入り。新潟市中央部を避けて、ちょっと外れにある道の駅「花夢里にいつ」で宿泊。 ■2007/05/04 金 7日目 佐渡島は果たして本州の海岸から見えるのか。地図で見る限り一番近いのは、新潟市の越後七浦、という辺りの海岸なのだろう。実は一昨年のこの時期、『伊勢、丹後、能登三半島巡り』の帰りに、佐渡島を見ようとここまできた。けれど水平線にもやがかかっており、見られなかった。今日は晴天。再チャレンジしてみよう、と、再び越後七浦へ。 で、結果。前回よりコンディションは良かったものの、あまりスカッともしておらず、結局見えなかった。けれど、空と水平線の境がはっきり見えるくらいの条件ならば、見えるのかも知れない。今度またチャレンジ…いや、事前に調べてからにしよう。 さて、ここからは内陸に入り、静岡へ向かって本州を縦に突き抜けることになる。新潟市から入ってゆくルートと、糸魚川から入ってゆくルートはもう走っているので、今回は上越市から入り、国道18号を南下する。やがて、新潟県を抜けて長野県へ。10時前に野尻湖に着く。 ヤマザクラ。紅葉と花を同時に楽しめる。自分が一番親しい桜が、青空の下。湖を背景に咲いていた。この先は長野市。そして松本市から諏訪湖。もうすっかり馴染んだ道になる。 さぁて、帰るか。 その後、諏訪湖辺りで今旅初の本格的な渋滞に巻きこまれながら山梨へ。甲府まで来てふとR52「富士川街道」を走りたくなり、ルートを変更。南アルプス市の南の鰍沢町にある「かじか温泉」でお風呂にし、そこで夕暮れを向かえて更に南下。ここまで来ればもうすぐに帰られるのだが、静岡県に入る手前の道の駅「とみざわ」でまた一泊。 ■2007/05/05 土 8日目 以前から行こうと思いつつ、なかなか足が伸びなかった、富士宮市にある「白糸の滝」を朝一作戦で見物する。 周囲は土産物屋と有料駐車場ばかり。車を停める所が無かったので、ゲートの開いていた有料駐車場に停めたのだけど、朝6時前だったので金を払うべき人もおらず、仕方なくそのまま入り、滝を見物してからそのまま出てきた。 そして、富士山スカイラインにも寄り道して富士山を眺め。 どの場所を、何を目指す旅であっても。 結局、今の自分にとって。旅のゴールは常に、この山の麓なのだと。 ああ、帰ってきたなぁ、と実感し、早朝のうちに帰宅しました。 これまでの旅、今回の旅。無事に帰ることができたことに感謝します。 ○参考 今回の記録 総走行距離 2,890km(7泊8日) 一日平均361km 燃料消費量 227.6L 燃費12.7km/L 燃料単価平均128円/L 旅行総費用 46,483円 (燃料代29,149円 食事・風呂・土産等17,334円 有料道路・駐車場0円) |