Diary


平成十九年 師走


■2007/12/01 土
 夜の6時過ぎに、携帯に見かけない番号からの電話が入る。
 「もしもーし、アサヒ放送の探偵ナイトスクープですけど、**さんですか?」
 いいえ、違います。
 「えーと、○○さんに教えていただいてお電話したんですが、**さんでは…」
 ええ、すいませんけど違います。

 切ってすぐに再び電話。
 「もしもーし、アサヒ放送の探偵ナイトスクープですけど、**さんでは…」
 いいえ、**さんではないです。
 「…ああ、すいませんでした。また確認して掛け直します…」

 …はぁ。

 と、そんな感じの間違い電話で始まった師走。後になって「ああ、ナイトスクープってあの番組か」と気づく。北海道では夕方5時台とかにやっていたのを昔よく見ていた。今でも、夜中にやっているのをたまに見かける。
 間違い電話慣れしているため、普段どおり、こちらの名前も名乗らずに応対してしまったけれど、ちょっと話をしたら面白かったのかも知れない。でもまぁこのご時勢、相手が本物かどうかは判らないが。
 ちなみに、電話番号は「06***」で始まるものでした。


■2007/12/07 金
 27日から年明け6日まで、みんな休んでいいぞーとなったのだけど。
 一昨年は山口県内の道の駅、昨年は長崎県生月島の道の駅、と、過去2年がドライブ中、車中泊での年越し。しかも、当日までどこで年を越すかわからない状態だったので、今年こそは帰省して布団の中で年越しするぞ、と。そう思って今週色々と計画してみた。
 でも、飛行機の空席を見るともうとっくに、クリスマス以降の行きの便(羽田→新千歳)と、三箇日以降の帰りの便(新千歳→羽田)は満席。そこで、車で自走して行ったらどうだろう、と思って、こちらもちょっと計画してみた。
 東北方面は今年の春に走ったばかりなので、計画もすぐに立てられる。そうしてぱぱっと思い浮かべたプランが下のもの。

 27日 出発、霞ヶ浦付近で車中泊。
 28日 太平洋沿いのルート。仙台辺りで車中泊。
 29日 岩手県を縦断、海沿いルートなら八戸、内陸ルートなら弘前辺りで車中泊。
 30日 青森市へ移動し乗船待ち。津軽海峡を海路で渡り、函館に上陸し、車中泊。
 31日 6時間くらい走って実家に着いて、布団の中で年を越す。
  1日 出発、以降、来た時の逆順でひたすら走って帰宅。

 …アホか俺は。

 さすがに自走だと自分でも突っ込みを入れたくなるくらい悲惨なものになりそうなので、結局は、空きがあった年明け二日の帰りの飛行機を取り、年明けの休みを三箇日のみとして年末の休みを22日からに前倒し。行きは23日の便を取って帰省することにした。かなり無理矢理だったが、休暇交渉も成立。飛行機の予約も取れた。

 というわけで、今年は実家で年越しすることができそうです。
 なので、「今年はどこで年越すんですかー?」などとは、訊かないように。

 (※注意 上の計画はあくまでも脳内プランです。降雪地での車中泊は危険なので絶対しません。)


■2007/12/08 土
 今年はじめて車を買った職場の人が、冬タイヤを買うのに付き合って、という。自分もちょうどバッテリーがへたっていたので交換のため、車を連ねてカー用品店へ。ただ、自分は別に冬タイヤに詳しいわけではない。出身が北海道だからといっても、毎年毎冬最新モデルの冬タイヤに履き変えたり、商品をチェックしていたわけでもないので、「どれがいい」と訊かれても正直わからない。そういうのは何年かに一度しか買わないものだし。
 なので、特に選ぶもなにもない。一流メーカの今冬発売のモデルで、予算の範囲内に収まる最高額のものを買え。それだけなので、自分のお薦めは店員がお薦めするものと変わりはない。まぁ軽自動車だったので特に馬鹿高いタイヤがあるわけでもない。選択の基準はもっぱら、併せて買うことになるホイールの値段とデザイン(見た目)になる。
 で、購入はしたものの、初雪も舞った後のこの時期、タイヤ交換の車でピットが埋まっており、今日中のタイヤ交換作業はできなかった。なんだ、別に車2台でくることなかったな、と、自分の車のバッテリー交換だけを済ませる。

 その後行ったファミレスで、ステーキだのハンバーグだの頼んだら、皿の上に「焼き石」が乗っていた。出された肉をこれで焼いて焼き加減を調節してください、という。こういうものを出されると、特に必要がなくてもその上で焼きたくなってしまう自分。ただ、そこで焼くとビチビチと油が跳ね過ぎ。
 ふと、コップの水に目がいった。「焼け石に水」という諺を思い出す。コップの水を手に、「これ、かけたらどうなると思う?」。即座に「いや、凄い跳ねて危ないんじゃないですか?」と。この場合は何かそれでも意味が合っている気がする。つまり。

 『焼け石に水』=『物事を沈静化しようとして、かえって周囲に被害を拡げてしまうこと』

 用例としては 「あの人に手伝ってもらうとねぇ、かえって焼け石に水だよ!」 …という感じ。


■2007/12/13 木
 明日の日付の書類を作っていて、ふと今日付けの書類を作ることになって作業していたら、頭の中の日付が切り替わっていなくて、今日の日付にするべきところを明日付けで作成し、全滅。という、でもまぁ取り返しのつく失敗をした。ただ、その後、その書類の修正に追われて昼休みが完全に潰れたので、昼食抜き。

 ひとを見ていて、ふと思ったこと。普段それほど喋らないひとが、何故かやたらと口数が多い場合。大抵あまりロクなことを考えていない。ロクなことというか。自分にとってはどうでもいいようなことなのだけど、その人にとってはちょっと伏せておきたいような、というか。そのくらいのことなのだけど。
 例えるなら。これからジャンケンをするとする。その人はまず最初に、特に言う必要もないのに「グー出そうかな。それともチョキにしようかな」と言う。そしていざジャンケンの時には、言わなかった「パー」を出す。ただ、それを何回か繰り返されるとこちらも「彼は言わなかった手を出してくる」というのが判っている。というより、特に知る必要もない次の行動が判ってしまうので、ある意味、対応に苦慮する。本人的にはその行動をあまり知られたくないと思うばかりに、そういう言わなくてもいいことを言ってしまうのだろうけれど。そういう心理はよくわからん。
 という自分は、時々。自分にとってはどうでもいいようなこと(休暇決めとか小額の飯の支払いとか)をジャンケンで決める時、「俺はグーを出す。勝つか負けるかはお前が選べ!」と言って、相手を困らせることがある。後輩相手だったりすると、結構楽しかったりする。


■2007/12/15 土
 あんたなんか産むつもりじゃなかった、と実の母親に言われて、その後長いことその言葉に苦しんだ人がいるとする。その時に、子供の側から、こう切り返せばベスト、と思われる一言を、ふと思いついた。

 それでも、自分はあなたの子供に産まれてきてよかった。

 咄嗟に本心からこれが言えれば、凄いと思う。ひょっとしたら、その後苦しむことなく、その場で和解ができるかもしれない。ただ、こういう想い、こういう言葉は、その後長く苦しまないと、出てはこないものなのだ、と思う。そうした事を言うほど親も苦しい。そしてその後の自分も苦しい。それを越えて生じた想いから発せられる言葉だからこそ、こういう言葉には価値が出るのだろう。
 苦しい経験、というのは、その過程ではただ苦しいだけ。けれど、その苦しい経験の価値は、多分、その経験がどこに辿り着くかで決まるものだと思う。


■2007/12/21 金
 職場で行われた、屋外での餅つき行事。大勢人が集まって、わいわいと。楽しそうに。何も無かったかのように。そんな中、何かずっと虚しい想いで突っ立っていた。時折、閃きのように現れる光景。今週ずっとその頻度が増していて、この一週間を台無しにされていた。どうして今頃なのだろう。自分は今日で今年の仕事を終わり、休みに入る。今年最後、という雰囲気が多分、今年の様々なことを思い起こさせるから、なのかも知れない。

 行事が終わって、事務所に人が戻り、午後からの仕事が始まる。
 書類を一件、片付けてきた。今年最後の、仕事らしい仕事が終わる。「あー終わった」と、紙を挟んだ用箋挟みの束を、バン、と机に投げる。周りの席の人が、ちょっと驚いてこっちを見る。どうかした、と。

 「いや、早く今年終わんねーかな、と思って」

 ちょっと鼻にツンと来たけれど、ニヤリと笑って見せる。
 今年、このままじゃ絶対終わらせねぇ、と。そんなことを、ふと思う。


 

<< 霜月   目次   睦月 >>
Kaeka Index.