Diary 平成二十年 水無月 ■2008/06/06 金 6月に入って最初の仕事からして徹夜作業。月曜日の朝礼に始まり、火曜日の朝礼に終わる。さすがにそのまま職場にいても使いモノにならないので、火曜はその朝礼の後、1日休暇を取った。 4月5月は、春の異動で周辺の人事がかなり刷新されたこともあって、新しい人たちとの関わりを築くことに、ずっと気を払っていたような気がする。築くのは、自分と人との関わり、だけではない。そして、自分を中心とした人間関係、というものでもない。 これは時々思うのだけど、自分は、自分を中心とした人間関係、てなもんは、想像するだけでゾッとする。人間関係において、自分がいるべき場所、というのは、その中心ではないし、そうなるべきでもない。自分は、人と人との関わりの、その間。そのくらいの位置にちょこんといるくらいがちょうどいい、と思う。人と人との繋がりに手を貸すことはある。けれど、何と言うか。その後々までその繋がりに干渉したり影響を持ったり…というのは、何となく苦手。 ■2008/06/08 日 フードファイター、というか、ようするに大食いの人の間で「大盛の店」とちょっと名が知れているらしい県内のラーメン屋へ行って、カレーラーメン大盛とチャーハンを平らげてきた。この店には2週間前(5/24)にも来たばかり。そして、先週末(5/31)は神奈川県内のバイキングレストランでランチバイキング。そういえば先月29日の「にくの日」にも、それに引っ掛けて「食べ放題」をやっていた焼肉屋へ行って来た。 思えばここ1ヶ月の外食の多さは異常かも知れない。そういえば、連休ドライブでは「宇和島で鯛めし!」「須崎で鍋焼きラーメン!」「香川でうどん!」「尾道ラーメン!」「広島でお好み焼き!」「富山ラーメン!」(中略)「山梨でほうとう!」と、さんざん食べ歩いてきたっけ。何か麺類ばかりだが。 さて。ラーメンについて。自分はずっと北海道にいたので、あちらとこちらのラーメンの違いについて。それはもちろん味も麺も違うのだけど、メニューそのものも、ちょっと違うな、と思うことがある。 まず、こちらではメニューに「ラーメン」としか書かれていない「ラーメン」が多い。で、北海道人からしてみれば「…で、そのラーメンとは味噌、塩、正油でいう何ラーメンなんだい?」となるのだけど、この辺(静岡)だと「ラーメン」=「正油ラーメン」になる模様(ただし、九州に行くと「とんこつ」になる)。 でも、今日行った店もそうなのだけど、「正油ラーメン」は「ラーメン」なのに、「味噌ラーメン」「塩ラーメン」は、きちんとそのとおり書かれていたりする。それがまず不思議。 とはいいつつも、ちゃんと「しょうゆラーメン」と書かれているお店もある。のだけど、その場合、メニューには「醤油ラーメン」と書いてあり、ここまで自分が書いてきたような「正油ラーメン」という漢字ではない。というか、そもそも「正油」というのがパソコンで変換しても出ない語だ、ということに、今気づいた…。 あと、これからの季節。こちらには北海道で一般的な「冷やしラーメン」は存在しない。全て「冷やし中華」、である。中身は同じ。で、自分は今でも「冷やし中華」のことを思わず「冷やしラーメン!」と言ってしまうのだけど、その度に周囲の人に「?」な顔をされている。 ■2008/06/10 火 4月に九州からきたばかりの同僚が、自分が持ってきた富士登山のパンフレットを手に、富士山を見ていた。パンフレットと富士山を見比べている。覗きこむ。「あ、今富士山にかかっている雲、何雲かな、と思って」と。パンフレットには富士山にかかる様々な雲の形と名称、そして、その雲から予想される天気の解説。窓の外の富士山には、中腹をぐるっと取り巻くような形をした雲。 ああ、そういうことならね。こんなの見るより班長に訊いた方が早いよ、と、班長を見る。この人は4月の快晴の空の下での朝礼時に、午後から突然降り出すアラレを予想・的中させる(一説には彼が天候を操作している、という噂もある)人物である。その班長は電話中。でも「はんちょ」と言われたのに気づいたらしく、こちらをちらり。電話が終わるとすぐ「おう、何かあったか?」と立ち上がる。…というわけで、あの雲はどんな雲なんですかね、と。それからお天気の話。 よーしまず雲ができる基礎的なことから説明してやる。梅雨時期の富士山も、朝は結構はっきりと見えてるな。それはなぜかというと、朝、まだ日が昇っていないうちは地面が暖められていないからだ。富士山を覆う雲は何故うまれるか。それは太陽熱により暖められた空気が断熱膨張って現象によって上昇し、上空で温度が下がって露点を下回る。すると空気中の水分が凝結して、霧状の水滴…つまり「雲粒」、く・も・の・つ・ぶ、が発生するからだ。だから地面がまだ暖まっていない早朝は上昇気流も発生しないので、雲も発生しにくい。てなわけで朝は富士山が綺麗に見えるのだ! あ、でも、富士山の場合、太陽熱による上昇気流は発生しなくても湿った風が吹きつけて山肌に沿って昇る時なんかはやっぱり気流が上昇することになるから、その場合は昼夜あんまり関係なく雲が発生するんだぞ! (中略) …で、普段から天気図と富士山にかかる雲を見比べて観察していれば、その日の数時間後の天気がどうなるか、ということは大体予測ができるようになるんだぞ。やってみぃや。ガハハ! 参りました。んで、結局あの雲は何雲なんでしょうね…と、富士山を見た。したっけ。その話の間に、富士山の姿そのものが雲に覆われて見えなくなっていた。…いや、決してそんなに長い時間ではなかったのだけど。 ■2008/06/13 金 職場に献血車が来た。で、献血から帰ってきた人が貰い帰った粗品やらの中に、骨髄バンクのドナー登録募集の案内パンフを見つける。その場での採血だけで簡単にできるらしい。自分は献血をしたことがない(初めて行った時に「血圧低いから駄目」と断られてから行ってない)のだけど、こっちならまぁいいか。じゃあ行ってきますわ、と、献血はせずにドナー登録だけしてきた。パンフを読んで中身を理解して、住所などを書いて、サインして、採血して、15分ほどで終了。 帰ってから「こんな感じでしたー」と話をする。「へぇ。ドナー登録っていうと骨髄液でも採取されるのかと思ってたわ…」でもまぁ、そんな簡単に終わるんなら…と、それから二人が登録に向かう。そうしてしばらくして、腕に絆創膏を貼って帰ってくる。 素晴らしい。この30分で登録者が三人も増えたわ。じゃあ、出頭(?)の要請が来たら休暇とりますんでかちょーよろしく! などと新規登録者の三人で盛り上がっていると、ちょっと離れて座っている一人が来て、「…ふーん。ドナー登録ってそんなに簡単にできるんだ…」と言って、持ち帰ったパンフをちらっと見て帰ってゆく。それから再び盛り上がっていると、しばらくしてからまたやって来て、「登録して呼ばれるのってどのくらいの確率なのかな…」 「喫煙者でも登録できるの?」などと、またパンフを見にくる。そしてまた帰ってゆく。 彼は…迷っている。というより、ものすごく迷っている! そう直感した我々三人は、とあるゲームを開始した。彼をドナー登録させたら我々の勝ち。ルールはただひとつ。決して強制せず、自発的に行かせること。では、スタート! 「…さんも登録してきた方がいいすっよ。提供の時はかちょーも休暇くれるって言ってるし」 「…登録してきたら、さっき俺が献血で貰ってきたSOYJOYやるよ!」 「…今登録すると特別に豪華な粗品が貰えるんですよ!」 「…ついでに、ドナーカードにタスポの機能がついてくるらしいですよ!」 「…採血してくれた方がすごい美人で♪」 「…さん、メール来てますよー。 …あっ、何故かこんな所(床)にパンフレットが!」 …というわけで、登録してきませんか? うーん…どうしようかなあ。まぁそこまで言うならなぁ…。と、その後も煮え切らない彼だったが、ふと気がつくと事務所からその姿が消えていた。そうしてしばらく。豪華な粗品のペットボトルのお茶を手に、帰ってきたその腕には白い絆創膏。 − よぉし、勝った! − で、結局。何が何に対して勝ったんでしょーね? − さあ。まぁ、面白かったからいいんじゃね? と、本来は真剣であるべきことに対してかなり悪ふざけした感もあるが、自分は断言する。 いざ提供の話がきた時に尻込みするような人間は、この面子の中にはいない。 ■2008/06/18 水 四月に沖縄で採用されて、いきなりこちらに配属になった人がいる。沖縄ナンバーの車に乗っているのを知っていたので、どういう手段で来たのかちょっと訊いてみた。東京までフェリーで片道2泊3日。料金は軽自動車でおよそ10万円、だったという。 ぐっ、往復だと航路だけで一週間、20万円。遠い&高いなぁ、沖縄! と頭を抱えていると、「どうして(わざわざ)車を持って行くんですか?」と、逆に訊き返される。…というわけで、今の車で走ってないのはあと沖縄だけなのだよ。せっかく46都道府県走ったんだから、どうせなら廃車にする前に沖縄走らせてやりてーじゃん! と答えたのだけど。手ごわいなぁ、沖縄。何というか。ラスボスの貫禄。 待てよ。東京までフェリーで来たから、片道2泊3日で10万円。 じゃあ、鹿児島まで自走してそこからフェリーにすればもっと安く! …言ってて辛くなってきた。 ■2008/06/21 土 先週登録した骨髄バンクの、登録完了のお知らせが来ていた。登録の際に採血されたのだけど、その成分だとか組成がどうのこうの、というようなデータはなし。ただ、片隅に血液型の記載があった。自分は間違いなくB型(Rh+)だったらしい。 らしい、というのは幼稚園だったかそのくらいの頃に血液型を調べる検査をやって、その結果B型だったらしいのだが、自分にはその記憶がない。そして、その時の記録もない。んで、その後も血液型を調べる検査、というものをやった事がない。 つまり。自分はこれまで血液型はB型(Rh+)だ、と言ってきたのだが、それは親から「あんたはB型だから!」「アールエッチ? マイナスなら検査のあと話題になってただろうから、プラスなんじゃね?」と言われたからそうなっているだけで、思えばこれまで、実際に自分がB型だという「検査結果」を、自分で目にしたことはないのだ。ようするに、「血液検査の結果、あなたの血液型はB型(Rh+)でした」という紙を見たのは、意外なことに。今回が人生で初めてとなる。 封筒の表を見ると、住所が「赤十字社血液事業本部中央血液研究所…」という凄い名前になっている。まぁ、そんな凄い名前の所にある団体が送ってきているのだから、間違いはあるまい。…って、間違っていたら困るのだけど。とにかく。自分の血液型になんとなく裏づけをもらった気分。 |