『褐色に浸る時間』
2001年/後半


029 隠れんぼが上手な子供のジレンマ
 隠れんぼが上手な子供のジレンマ
 努力と宿命の比率
 りっしんべんの言葉


030 スタンス
 スタンス
 頭の衣替え
 花の上を歩いた日
 充電
 闇夜に燈る雨蛙


031 やさしさの流量
 外に出ると雨の予感がした
 「ロウソク出せ」の唄
 夜の防波堤を歩く時
 街中の魚
 やさしさの流量


032 誰も停まらない赤信号
 主のいない腕時計
 今年最初の釣行(1)
 今年最初の釣行(2)
 今年最初の釣行(3)
 誰も停まらない赤信号


033 花火会場を流れる時間
 花火会場を流れる時間
 人生のリセットボタン
 青空の1ピース
 夏に欲する夏
 時計が再び動き出す


034 盆過ぎの海
 石の墓標と樹の墓標
 死してなお、列を乱さず
 盆過ぎの海
 静寂を身に纏う
 窓の奥の住人


035 大勢の釣り人の中で一人だけ鮭を釣り上げてしまった少年の話
 タンデム・トンボが舞う季節
 大勢の釣り人の中で一人だけ鮭を釣り上げてしまった少年の話
 「恋人、いる?」と訊かれて
 背後の会話


036 彼らの遊びと僕らのゲーム
 一杯の海を湛えて
 狂牛病とキタキツネ
 信仰が産んだ争い鎮めよと
 釣り場の不寝番
 彼らの遊びと僕らのゲーム


037 玉手箱の中身
 玉手箱の中身
 その家の匂い
 夕陽を詰めた牛乳瓶
 素肌に、雨
 分針


038 夢から醒める時
 あの時と似た状況
 裡なる海の潮騒
 夢から醒める時
 成長の仕方



039 今年の終わりに
 袋越しに触れたもの
 愛を詠った歌
 冬の猫
 今年の終わりに

 

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